いわき万本桜プロジェクトがはじまった2011年から2017年までの歩みを、美しいビジュアルや豊富な写真とともに綴った豪華版の記録誌。本文は、開高健ノンフィクション賞なども受賞したノンフィクション作家・川内有緒氏の書き下ろし。志賀忠重が手書きしたプロジェクト発足当初の作業日誌や万本桜の山の未来想像図、イラストマップ、せん定した桜の枝から手作業で染色を施した世界に一つだけのしおり…など、一冊にたくさんの想いを詰め込みました。
2019年3月にいわき民報社のふるさと出版文化賞特別賞を受賞しました。
企画・制作 いわき万本桜プロジェクト
題字 志賀忠重
絵 蔡國強
文章 川内有緒 荒川涼子 津田大介 志賀忠重
写真 小野一夫
ブックデザイン 高野美緒子
マップイラスト 佐藤江利子
印刷・製本 (株)山田写真製版所
【講評】
東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所の事故で、疲弊した故郷に桜を植えて元気づけたいとの思いから始まった、いわき万本桜プロジェクトの活動の軌跡がまとめられた佳作である。
表紙は桜の花びらを切り抜いて淡い桜色をのぞかせる凝ったもので、本を開く期待感を高める装丁になっている。特に『空をゆく巨人』で第16回開高健ノンフィクション賞を受賞した川内有緒氏が担当したプロジェクト開始の動機や、世界的に活躍する芸術家の蔡國強氏といわきのつながりを紹介する文章は秀逸である。
何より、将来、万本桜がいわき上空から見えるのではという期待を持たせる内容は、「ふるさと出版文化賞」の特別賞にふさわしい。(書評・玉手匡子選考委員)
2019.3.15発行いわき民報より引用